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データで読む / 2026 杉並区長選 まであと少し

187票差 — 前回の杉並区長選で何が起き、その後どうなったか

2022年6月の杉並区長選は、176,787人が投票して差はわずか186.276票だった。歴代の投票率、当時の争点、そして「見直し」を掲げた公約がその後どうなったか — 区選管・区公式の一次記録で確かめる。

⚖ 本記事は特定候補への投票・落選を呼びかけません。公式記録の事実を中立に整理し、評価が分かれる点は両論を併記します(公職選挙法に配慮)。誤りはフッタの「🐞報告」から(確認のうえ速やかに訂正します)。

① 186.276票 — 「187票差」の中身

出典: 区選管 開票結果(一次)

76,743
岸本さとこ(無所属・新人)44.41% — 当選・杉並初の女性区長
76,556.724
田中良(無所属・現職3期)44.30%
19,487.275
田中ゆうたろう(元区議)11.27%

小数点がつくのは、同姓の「田中」とだけ書かれた票を得票数に応じて按分する公職選挙法のルールのため。正確な差は 186.276票で、報道では「187票差」と表現された。投票率は 37.52% — 6割以上の有権者は投票していない。

② 投票率は「底」から2回連続で上がっている

歴代の杉並区長選 投票率。出典: 区選管「選挙の記録」(一次)

📘 読み方: 2010年の57.63%は参院選と同日に行われた特異値(山田宏区長の辞職に伴う選挙)。単独で行われた区長選としては、2014年の28.79%が底で、そこから2018年(32.02%)→2022年(37.52%)と2回連続で上昇した。1995年は自民推薦(+社会・公明)の候補が当選した最後の回。
※1999〜2010年の各候補の得票数は二次資料のため本記事では投票率のみ掲載。

③ 4人に1人以上が「期日前」で投票している

杉並区長選の期日前投票者数と、投票者に占める割合。出典: 選挙の記録 令和4年版(一次) / 平成30年版(一次)

2014年
22.1%
2018年
25.8%
2022年
28.8%

2022年は 51,155人が期日前投票を利用した(投票者の28.8%)。特徴は最終日集中 — 最終日の土曜だけで18,025人、期日前全体の35%が集中した。全国でも期日前の利用は増え続けている(総務省「よくわかる投票率」)。

今回(2026年)の期日前投票は 6/22(月)〜27(土)8:30〜20:00・区内15か所。場所は 🗳 投票に行く の地図で確認できます。

④ 2022年、何が争点だったか

当時の報道・候補者インタビュー記録から。出典: 東京新聞すくすく(二次) / 西荻のこと研究所 3候補インタビュー(記録) / さとこビジョン(区公式転載・一次)

争点岸本(新人)の主張田中良(現職)の主張
施設再編
(児童館・ゆうゆう館)
「児童館は…以前と同じ数に戻す」。街頭では「児童館守ってゆうゆう館守ろう」「機能を移転しており、児童館の役割がなくなるわけではない」=再編継続
都市計画道路
(補助132号線・西荻窪)
「道路拡幅計画の見直し」整備推進(なお「駅前再開発の計画はない」と2022年5月の議会で答弁)
阿佐ヶ谷駅北東再開発「住民合意の取れていない再開発などは見直す」推進(土地区画整理事業として進行中)
区政運営透明性・対話を対置実績(待機児童解消・特養増・コロナ医療補助)で応戦。緊急事態宣言中の公用車でのゴルフ場訪問(2021年7月)が逆風と報道された
住民参加スローガン「対話から杉並の未来を創ろう」

※元区議の田中ゆうたろう氏(19,487票)は施設再編の見直しと現職の区政運営批判を主張した。3候補の主張は西荻のこと研究所のインタビュー記録(上記リンク)で本人の言葉として残っている。

⑤ 「見直し公約」はその後どうなったか — 帰結は争点ごとに違った

区の公式文書・議会答弁で検証(各項目に出典)。これがこの記事でいちばん伝えたい事実です。

争点その後(検証できた事実)
転換児童館区は2022年11月に再編計画を「一旦休止/継続」に仕分け(区長メッセージ・一次)。2024年9月の議会答弁で「25か所を機能強化のうえ存置、児童館のない7中学校区に新設検討」と方針転換を明言(東京新聞・二次)
継続ゆうゆう館「コミュニティふらっと」への転換は岸本区政でも継続(例: ゆうゆう天沼館 2024年9月末閉館→機能継承。区公式・一次)。2022年に推薦した共産党区議団が2023年に申し入れ=支援側にも異論がある
骨格維持阿佐ヶ谷北東「振り返る会」等の対話を挟んだうえで、2024年1月に従来計画の骨格(病院→けやき屋敷、跡地→杉一小の玉突き移転)の継続を表明。跡地は「タワマン・大型商業施設は整備しない」と条件付け。けやき屋敷の樹木は伐採済みで、支持者の一部から批判が続く(健美家・二次)
進行+対話補助132号線事業認可(2020年)済みの区間は進行。沿道まちづくりの対話の場を設置(区公式・一次)
実装対話の区政参加型予算・無作為抽出の対話(聴っくオフ)等を実装。公約達成率は区の自己点検で2年時点48.5%、基準により38.8〜58.4%とする検証もあり評価は分かれる(Yahoo!ニュース エキスパート・二次)

つまり「見直し」を掲げた公約の帰結は一様ではない。確認できる事実は3つ — (a) 児童館は明確に方針転換した、(b) ゆうゆう館・阿佐ヶ谷は実質継続した、(c) いずれも対話のプロセスは挟まれた。これを「公約違反」と読むか「対話を尽くした現実的な判断」と読むかは評価が分かれており、本記事は判定しない。

⑥ なぜ187票差になったのか — 説明は1つではない

勝因の説明は立場によって異なる。「野党共闘と住民運動の勝利」(しんぶん赤旗・陣営側)とも、「自民区議の分裂と、第三候補(19,487票)への保守票の分散」(Wikipedia・二次)とも言われる。投票率+5.5ポイントの寄与もあるが、どの層が上積みされたかを示す公的データは存在しない(公表されるのは投票区別まで)。単一の説明で断定はできない。

なお投票率は同じ区内でも投票区によって約2倍(25.88〜50.31%)違った。地図で確かめる → 🗺 投票率マップ

⑦ そして2026年 — 同じ争点の続きと、新しい争点

2022年の争点(施設・道路・再開発・区政運営のスタイル)は、ほぼそのまま2026年の争点として続いている。加えて今回は善福寺川の治水・地下調節池が新たな最大争点になり、いじめ対応・学童待機児童は「現職の成果が問われる」項目に変わった — 4年前と攻守が入れ替わった構図だ。

📺 今回も公開討論会が予定されている: 6月24日(水)20:30〜 YouTube Live(主催: 東京青年会議所。主催者発表。2022年も6月14日に開催実績)。形式・参加者は変わる可能性があるため直前に主催者ページで確認を。

方法と出典

・選挙結果・投票率・期日前投票者数: 杉並区選管「選挙の記録」各年版・開票/投票結果ページ(一次)。期日前の2018年(38,753人)・2022年(51,155人)はPDF数表から取得し、独立した検索グラウンディングで照合済み。
・2022年の争点・主張: 当時の報道(東京新聞すくすく)・候補者インタビュー記録(西荻のこと研究所)・区公式転載の公約(さとこビジョン。区ページには「区としての決定事項ではない」との注記がある)。
・「その後」の検証: 区長メッセージ・区公式ページ・議会答弁の報道(本文中に個別リンク)。
・確度の限界: 1999〜2010年の候補者別得票は二次資料のため本記事では使用していない。1995年の候補者別得票は未取得。評価が分かれる論点は両論を併記し、本サイトとしての判定はしない。
・関連データのダウンロード: 📦 データ・出典(投票区別投票率・議決データ等)。誤りの報告はフッタの「🐞 誤り・不具合を報告」へ(確認のうえ速やかに訂正します)。