「水害」と聞くと川の決壊を思い浮かべますが、日本の水害被害額の 4 割は 内水氾濫 — 下水道や排水路が雨に追いつかず、その場で水が湧くように あふれる都市型の水害です。2026年8月、千葉と東京で起きたのもこれでした。 このページは、何が起きたか・どこが危ないと予想されているか・ 自分の街をどう確認するかを、出典つきのデータで案内します。
8月13〜14日、千葉県で記録的な豪雨(令和8年8月千葉豪雨)。 千葉県によると災害救助法が 20市4町に適用(千葉市を除く県所管分)され、 冠水した道路での車両水没が相次ぎました。国管理河川の決壊はなく、 被害の主体は排水が追いつかない内水氾濫と、下水道ポンプ場自体の浸水でした。
8月21〜22日には東京・埼玉でゲリラ豪雨。気象庁の記録的短時間大雨情報が 板橋区付近(約120mm/h)・北区・豊島区・さいたま市・戸田市などに発表され、 高島平駅周辺や秋葉原駅付近のアンダーパスが冠水しました。 練馬区の白子川では河川の氾濫発生情報(レベル5)も発表されています(こちらは川からの外水)。
※ 被害の詳細は現在も集計中の速報情報を含みます (2026-08-23 時点)。個々の冠水地点は報道に基づきます。
東京都の浸水予想区域図 (外水+内水一体・想定最大 153mm/h) と、8/22 の冠水報道地点の突合 (当サイト分析)
| 冠水が報じられた場所 | 浸水予想の被覆率 | 予想最大浸水深 | 評価 | 地図で見る |
|---|---|---|---|---|
| 高島平駅周辺 (板橋区) | 100% | 2.60 m | 明瞭に予想と一致 | 開く → |
| 秋葉原駅付近 (千代田区) | 82% | 2.00 m | 明瞭に予想と一致 | 開く → |
| 白子川流域・大泉町 (練馬区) | 51% | 1.59 m | 部分的 (河川増水=外水との複合) | 開く → |
| 善福寺川 松見橋付近 (杉並区) | 16% | 3.00 m | 一致は限定的 (外水との複合) | 開く → |
高島平や秋葉原のような低地・アンダーパス型の冠水地点は、事前の予想と明瞭に重なりました。 一方、白子川や善福寺川のような川沿いの地点は河川増水(外水)との複合で、 この地図だけでは読み切れません。少なくとも前者について言えるのは、 予測は「不可能」だったのではなく公開されていたということ — だからこのサイトは、その地図を誰でもワンクリックで見られる形にしています。
※ 冠水地点は報道ベースの代表点、半径100mでの判定(面判定のため低地が広い場所ほど被覆率は高く出やすい)。「届いていなかった」かどうかの住民認知調査は存在せず、当サイトの解釈を含みます。方法の詳細は下の「出典と方法」参照。
市区町村名を入れると、その街の地図 (地形の水の流れ+浸水想定+内水予想) を開きます
地図が開いたら、左パネルの「内水含む浸水予想 (東京都独自)」「内水想定 A51 (法定)」をONに。 東京都以外では内水の公式データが無い自治体がほとんどです — 表示が無い = 安全、ではありません(下の「なぜ地図が無い街が多いのか」参照)。 河川氾濫 (浸水想定) と地形の水の流れ (流路シミュレーション) は全国で見られます。
気になる場所を開いたら、そのままアドレスバーのURLをコピーすれば同じ表示を共有できます
水害被害額に占める内水の割合 (2006-2014 累計、e-Stat 水害統計調査)。都市化した県ほど高い
2015年以降の統計も公表されており、順次拡張予定。内水 = 「内水」+「窪地内水」、出典は下記。
内水ハザードマップ自体は多くの自治体が作っています。ただし水防法に基づく 法定の「雨水出水浸水想定区域」を公表しているのは、全国1,741市区町村のうち 28自治体 (1.6%) だけ。以下がその全リストです (分母は北方領土を除く全国の市区町村数)。
出典: 国土数値情報 A51 (2025年度版、当サイトが2026-08-23取得)。機械可読データが配布され、不動産取引の重要事項説明の対象になるのはこの法定区域だけです。
見てのとおり、埼玉は川越市、千葉は八街市、東京は福生市の各1市だけ。 2026年8月に実際に内水氾濫で被災した東京23区・さいたま市・千葉市・松戸市・柏市などの 大都市は、いずれもこの全国オープンデータ (A51) には未収録です (自治体単位での指定・公表の状況は個別に確認が必要です。多くの自治体は任意の ハザードマップや東京都の独自想定で情報提供していますが、形式も想定雨量もバラバラで、 隣の街と比べることも、全国同じ土俵で見ることもできません)。 水害被害額の4割超(2006-2014年)を占める内水に対して、全国データに揃った法定の地図は 1.6%の自治体 — この非対称こそが、内水氾濫の現在地です。
A51 は新設されたばかりの年次更新データで、国は指定拡大を進めています。 当サイトは毎年これを取得し直し、「法定内水マップの空白がどう埋まっていくか」を 定点観測していきます。当面は法定データ (A51) と東京都の独自データを地図に統合し、 どれが法定でどれが独自かを明示する方針です。
東京の地下には、増水した川の水を受け止める巨大な調節池群があります (これ自体は 河川=外水の対策施設ですが、川の水位が下がることで市街地からの排水も効きやすくなります)。 豪雨のたびに何万m³貯めたかの実績も含めて 「東京を守る調節池」ページで公開しています。