いま居る場所の高低差と、水の行き先を 3D で見る

3D 水害地形ビューの紹介 — 何が見えるか・どこで使えるか・どこを見ると面白いか

「水は高い所から低い所へ流れる」— 当たり前のことですが、普段歩いている街の高低差は意外と体で覚えていません。 このビューは国土地理院の標高データをその場で 3D ブロックに起こし、 この視界の中でどこが高台か(緑=低い→橙=高い、視点に追従して自動調整)、 どこにどれだけ水が溜まると予想されているか(紫の柱=予想水深)、 雨水がどの道筋で流れ下るか(青く流れる光)を一画面にまとめたものです。 ☔ボタンで「雨が降って窪地に水が溜まり、あふれて広がる」5 秒間の過程も再生できます。

🧊 3D 水害地形ビューを開く

スマホ対応。📡ボタンで現在地に追従します(位置情報は端末内でのみ使用し、サーバへ送信しません)。

対応エリア — どこで何が見えるか

機能対応エリア
地形の 3D 表示・高台がわかる色分け・水の流れ・雨アニメ 全国(標高データは全国整備。本土のほぼ全域は 5m メッシュ(公称精度 ±0.3m)、一部の離島などは 10m メッシュ(±5m)に落ちます)
浸水予想の水柱(紫の柱) 東京都 全域(都の浸水予想区域図: 外水+内水一体・想定最大 153mm/h)
+ 全国 28 自治体(国土数値情報 A51「雨水出水浸水想定区域」2025 年度版に機械可読データが収録されている自治体)
河川の外水浸水想定・土砂災害・過去の浸水実績 など 3D ビューには未搭載 — 統合マップ(2D)のレイヤで全国分を表示できます

そもそも「A51」とは?

国土交通省が GIS データ(国土数値情報)として配布する 「雨水出水浸水想定区域」の整理番号です。 雨水出水 = いわゆる内水氾濫 — 川があふれる(外水)のではなく、 下水道や排水路の能力を超えた雨がその場で溜まって浸水する現象で、 2026 年 8 月 22 日の高島平や秋葉原の冠水がまさにこれです。 水防法(第 14 条の 2)に基づいて自治体が指定する法定の想定図で、 「想定最大規模の雨のとき、どこが何メートル浸水するか」を面データで示します。 毎年度更新され、本ページの表は 2025 年度版。 制度はあっても、GIS データとして機械可読で公表しているのは全国 1,741 市区町村のうち まだ下表の 28 自治体だけです。

データ対象3D ビューでの扱い
A51(雨水出水浸水想定区域)内水(下水道の能力超過)紫の水柱(全国 28 自治体)
A31a(洪水浸水想定区域)外水(川の氾濫)。全国の約 73% の自治体にある3D には未搭載 — 統合マップで表示
東京都 浸水予想区域図都独自の外水+内水一体シミュレーション(想定最大 153mm/h)紫の水柱(東京都全域)。都内は A51 側を除外して二重表示を防止

📖 内水氾濫そのものの解説はこちら(内水ガイド)

A51 収録 28 自治体 — 3D で開く

自治体名のリンクは、その市町の A51 区域の中心を 3D ビューで開きます。 「区域の面数」はデータに含まれる浸水想定ポリゴン数(想定区域の細かさ・広がりの目安)、 「最大想定水深」は収録区分の最大値です。

自治体都道府県面数最大想定水深備考
室蘭市北海道12,9735m以上10m未満
別海町北海道2,3430.5m以上1m未満
八戸市青森県2,7831m以上3m未満
多賀城市宮城県9,6743m以上5m未満仙台平野の低平地。区域が市街の広範に及ぶ
前橋市群馬県3,7731m以上3m未満
富岡市群馬県5431m以上3m未満
川越市埼玉県36,1893m以上5m未満
八街市千葉県4,7433m以上5m未満
福生市東京都1941m以上3m未満3Dビューでは東京都の浸水予想区域図(都全域レイヤ)側で表示
横須賀市神奈川県15,0801m以上3m未満
綾瀬市神奈川県1,3675m以上10m未満
富山市富山県4951m以上3m未満
魚津市富山県12,7473m以上5m未満
羽咋市石川県3,12620m以上10m以上の深い区分が計8面存在(データ上の区分値)
野々市市石川県18,0091m以上3m未満
小浜市福井県5,5401m以上3m未満
長野市長野県1,6563m以上5m未満2019年 台風19号で千曲川決壊のあった市。市中心部が対象
豊山町愛知県1,6631m以上3m未満
上郡町兵庫県8853m以上5m未満
鳥取市鳥取県7,6445m以上10m未満
益田市島根県3020.5m以上1m未満
勝央町岡山県4,1375m以上10m未満
広島市広島県8111m以上3m未満
下松市山口県3,1831m以上3m未満
宇多津町香川県2,4981m以上3m未満
大洲市愛媛県9363m以上5m未満
福岡市福岡県2,5771m以上3m未満
大牟田市福岡県46,9985m以上10m未満収録28自治体で区域の面数が最多

出典: 国土数値情報 A51 雨水出水浸水想定区域 2025 年度版(当サイト取得 2026-08)。 区域の指定日や想定降雨(◯mm/h)は KSJ の機械可読属性に含まれないため、正確な前提条件は各自治体の公表資料を参照してください。 全国 1,741 市区町村のうち機械可読で公表されているのはまだこの 28 で、毎年の更新で増えていく見込みです。

⚠️ 柱が表示されない場所=安全、ではありません。 浸水想定が公表されていない・機械可読になっていないだけの場合があります。 お住まいの自治体の最新ハザードマップも必ず確認してください (ハザードマップポータル)。

注目スポット — 過去の水害をもとに

実際に水害が起きた場所を 3D で見ると、「なぜここに水が集まったのか」が地形から読めます。 リンクはその場所の 3D ビューを直接開きます。

2026 年 8 月の豪雨で冠水した場所(東京都・水柱あり)

高島平(板橋区)2026年8月に冠水
2026 年 8 月 22 日、板橋区付近で 1 時間 120mm 以上の記録的短時間大雨情報が発表され、駅周辺の道路冠水・店舗浸水が報じられた。荒川低地と武蔵野台地の「崖線」が 3D だと一目瞭然 — 台地の縁から一段下がった低地に水柱が並ぶ。
秋葉原駅付近(千代田区)2026年8月に冠水
同日にアンダーパスが冠水。神田川流域の緩やかな谷底にあたり、都心の駅前も内水と無縁ではないことがわかる。 SNS で「足首まで水に浸かった」と広く共有された駅前(電気街口・アトレ前)は この地点(SNS 上の報告に基づく位置)。
白子川流域・大泉町(練馬区)2026年8月 レベル5
氾濫発生情報(レベル5)が出た流域。川沿いの細長い谷に水柱が連なる。上下流に調節池が整備されている。
善福寺川 松見橋付近(杉並区)2026年8月 レベル4
氾濫危険警報(レベル4、8月22日17:20発表)。武蔵野台地に刻まれた深い谷で、台地の上(高台)と谷底の高低差が色分けでくっきり分かれる。 杉並区の発表(8月26日)では総雨量87mm・時間最大57mm(相生橋)、床上浸水5件・床下6件・土間上9件・半地下車庫2件・道路冠水10件(8月24日17時現在)、善福寺川調節池は容量の60%を貯留。 区の被害発生箇所図では西荻窪駅周辺と善福寺川沿いに被害が集中 (出典: 杉並区「水防活動状況及び被害状況等について」)。
江東ゼロメートル地帯地形リスク
荒川・隅田川に挟まれた東部低地帯を中心に、満潮位より低い「海抜ゼロメートル地帯」が広がる(都内合計で約124km²・23区面積の約2割)。3D の色分けでは一面が「低い」色になり、排水機場が止まれば水の逃げ場がない地形だとわかる。

令和8年8月千葉豪雨(2026年8月13〜14日)

気象庁が命名した豪雨災害。8月13日夜から千葉県内の最大22市町村にレベル5大雨特別警報が発表され、 千葉市では24時間降水量360mm超・1時間115.0mm(中央区)を観測。 千葉県内で死者13人・床上浸水1,206棟・床下浸水1,489棟(消防庁 8月20日10時時点の速報値)、 災害救助法は千葉市+20市4町に適用。八千代・千葉(越智)・茂原(道目木)の下水ポンプ場が浸水で機能停止し(応急復旧済)、 排水が効かない状態での内水氾濫が被害を拡大 — 千葉市内では冠水で動けなくなった車約2,500台が路上に残った(報道)。

千葉市中央区 村田町・村田川周辺2026年8月 レベル5水柱なし(地形のみ)
県管理の村田川で氾濫を確認(国交省)。村田町のアンダーパスでは排水ポンプと非常用発電機が不作動だったことが報じられた。谷底に向かって道路が下る「アンダーパスの地形」を 3D で。
茂原市中心部・一宮川の低地2026年8月 レベル5水柱なし(地形のみ)
レベル5特別警報(大雨・土砂)が出た市。一宮川沿いの低平地に市街が広がる地形で、過去にも度々浸水している。道目木ポンプ場が浸水で機能停止した。
八街市2026年8月 レベル5水柱あり(A51)
8月13日21:45にレベル5大雨特別警報、14日0:30に土砂災害特別警報。台地上の市街に刻まれた浅い谷が読める。A51 収録自治体なので内水浸水想定が水柱で表示される。

出典: 消防庁 被害報 第14報 / 国土交通省 被害状況等 / 千葉県 取組ページ。 雨量は気象庁発表に基づく報道値、車両台数は報道値。数値は速報であり今後変わり得ます。

全国 — 過去の大水害の地形を見る

長野市中心部・千曲川の低地2019年 台風19号水柱あり(A51・市中心部)
令和元年東日本台風(2019)で千曲川の堤防が決壊した長野市。山地から扇状地・千曲川低地へ落ちる高低差が一望でき、市中心部には A51 の内水想定が水柱で出る。決壊地点(穂保)周辺の実績浸水範囲(外水)は統合マップの「過去の浸水・崩壊実績」レイヤで重ねられます。
広島市 太田川デルタ水柱あり(A51)
三角州の上に広がる市街地。河口デルタの低平地と、背後に迫る山地の高低差が一画面に収まる。A51 の内水浸水想定が水柱で表示される。
丸森町(宮城県)2019年 台風19号水柱なし(地形のみ)
台風19号で阿武隈川支流の氾濫と多数の斜面崩壊が起きた町。山地と谷底低地の地形は 3D で見えるが、浸水予想の水柱は未対応エリア。崩壊・浸水の実績範囲は統合マップで。

あわせて使う

🗺 統合マップ — 全国 1,898 自治体の浸水想定・土砂災害・過去実績・避難場所を 2D で重ねる本体マップ
📖 内水氾濫を知る — 水害被害額の 4 割を占める「内水」の解説と 2026 年 8 月の検証
🏗 東京を守る調節池 — 浸水予想の裏側で働くインフラ

出典・注記

stats.tech-book.net — オープンデータで見る日本